大学の課題と言えば、大量のレポート、論文、レスポンスシートなど…。
誰もが苦しむものですよね。「提出すればいいや!」というおざなりな考えでは好成績は取れません!
専門分野について論理的な文章を書く力が問われる大学のレポート課題において、参考文献は必要不可欠な存在です。
ここでいう参考文献とは、ネットで簡単に調べられる情報のことではなく、学者の研究論文などといった本格的な資料です。これを味方につけたレポートは、そうでないレポートの何十、何百倍も説得力のある文章に変わります。
そこで今回は、過去に学部内優秀論文賞をいただいた筆者による、レポートや論文を書く時の基本事項と、他と差別化できる参考文献の探し方@国立国会図書館について紹介します!
大学生が避けて通れないレポート課題とは
作文や感想文との大きな違い
私達が高校までに書いてきたような作文や感想文との大きな違いは、「~と思います」「私の考えでは…」という自分視点の文言が一切使えないということです。
レポート課題では、世の中において実証されているデータや、記録されている数値など、「信ぴょう性のある証拠」を自分で調べ集めて書くのがルールです。
情報収集という最重要ポイント
レポートの構成は大きくけて3つです。
①自分の意見・仮説
②↑をさらに説得力のあるものにするための調査・情報収集
③結論
今回は、②の調査・情報収集をするために欠かせない参考文献の重要さについて説明していきます!
なぜ参考文献が大事なのか
何度も言っているように、大学からは一気に、自身の書く文書すべてに信ぴょう性のある数値やデータが求められるようになります。また、安易に自分の考えとして述べてしまったものが盗用に当たる可能性だってあります。
例えば、「現在日本ではグローバル化が進んでおり」というあなたの発言に対し、「グローバル化ってどんな定義があるの?」と聞かれたとします。
ここで信ぴょう性のあるデータを用いずに自分の想像だけで「えーーっと、、英語教育が本格化して…以前に比べて永住者が増えてるからだと思います…」というあやふやな答え方をすると、
英語教育が本格化というのは、具体的には?本格化したことによって本当に良い影響が出たの?以前っていつ?永住者は何パーセント増えたの?永住者はみんな英語を話す人なの?
というつっこみ地獄に陥ってしまいます。自分の思い込みや、「みんなが言っているからきっとそうだろう」という安易な考え方をしないよう、あくまで客観的に書く必要があります。これが、大学生を苦しめるレポート課題・卒業論文(卒論)の中身です!
大学生が陥りがちな「思い込み」
ここまでくると、自分視点にさえならなきゃいいんでしょ~?いけるいける!と思う人が多いと思います。しかし、これらについてはどう思いますか?
勝手に断定型
・日本において敬語は重要である。敬語の使用は、相手に不快感を与えることがないからだ。
→断定して大丈夫そう?敬語が不快感を与えないのはなぜ?
勝手にみんな同じ型
・私たちは読書をしたり、新聞を読む習慣をつけることで語彙を増やすことが出来る。
→「私たち」って勝手にくくったらダメ!本当にみんなそう思ってるの?
自分の耳起点型
・若者が選挙に興味を持つべきだというのはよく言われているが
→どこで誰によく言われているの?ってことになるから避けたい表現!
わざわざ書いちゃって恥ずかしい型
・多くの企業におけるECサイトの発展は、2020年以降のコロナウイルスの流行がきっかけとなっていると考えられる。
→コロナが原因で…とかはもう共通認識の話なので、ここまで当然のことを書く際には「いうまでもなく~」とかいう前置きを使うのがスマート(笑)
これらの例は少し大げさに書きましたが、色々な授業のレポートを同時にこなしているうちにパンクしてこれらのカッコ悪いミスをしないようにしたいですよね!
参考文献の種類
書籍、研究論文、Webサイト、新聞記事など、様々です。特に紙媒体は大学生のレポートには最も有力な文献です。
最近はインターネットで簡単に情報収集ができるようになりましたが、そのぶん引用元が信頼できるかどうかも確認してください!
まさかありえないとは思いますが、「○○まとめ」とか、「△△bot」とか「□□ブログ」とかから引用してこないでくださいね!
引用の方法
参考文献からの引用に必要な情報は以下の通りです。
・著作者
・発行年
・文献のタイトル、書籍名
・紀要名もしくは出版社名
・掲載ページ
・最終閲覧日(Webサイトの場合)
書籍の場合は、最後のページにある著書の紹介から確認できます。いくつかの論文がまとめられた紀要や大学論集は、表紙などにその情報が載っています。
レポート内での引用のしかた
文献から得た情報なのに、引用の仕方を間違えると盗用に値し、また引用する文章の解釈がずれたり、文献に述べられている以上のことを書くのも禁止です。
正しい引用の仕方を覚えましょう!
・著者の苗字(発行年)
山田(2012)によれば、日本とアメリカがこの条約を結んだ背景として…
佐藤ほか(2017)は最新の研究データで…
・引用文の最後に(著者の苗字, 発行年)
以上の点において、前者より後者の方が有利であるとされている(田中, 1999)。
中国、韓国に続き日本は12.333という高い数値を出している(文部科学省, 2019)。
これらの引用を踏まえた上でなら、自身の仮説や考えを反映出来るようになります。
参考文献リストでの書き方
この書き方は、教授によって様々な意見があるので、一概にこれとは言えませんが、私が最もよく使う書き方はこちらです。
著作者名.(発行年). 『タイトル』.「出版社名」(ページ).
1つ1つの情報はピリオドで区切るのがルールです。
①書籍の場合は、1冊まるごとその人の本であれば最後のページ数はいりません。
例:高垣敏博.(2015).『スペイン語学概論』.くろしお出版
②論文の場合、多くは論集の中にあるので、何巻・何ページを記載します。
例:金成秀.(2005).『ベルギーにおける言語問題の歴史的背景とベルギーのフランス語の特徴』.「大阪経済法科大学論集」(89:59-86)
③Webサイトの場合、最終閲覧日は必ず書きます(誰でも簡単に書き換えられるため)
例:文部科学省.(2010).『大学における教育内容等の改革状況について』
http://www.mext.go.jp/…. (最終閲覧日:2021年7月20日)
国会図書館ってどんなところ?
そこでおすすめしたいのが、大学のレポートに引用する分には信頼できるものしかない!国会図書館での文献探しです。
国会図書館は、図書館といいながら、本を借りて家に持ち帰ることが出来ません。館内で、パソコンを使って閲覧したい資料を検索して予約し、館内でゆっくり読んで、必要ならばコピーを取って(有料)原本は返却するシステムです。
東京
最寄り駅:東京メトロ有楽町線 永田町駅から徒歩5分 / 東京メトロ千代田線・丸ノ内線 国会議事堂前駅から徒歩12分
関西(京都)
最寄り駅:JR学研都市線 祝園駅 / 近鉄京都線 新祝園駅 / 近鉄けいはんな線 学研奈良登美ヶ丘駅 これらの3駅からバスで10~15分
現在コロナの影響で来館者数を制限しているそうなので、ネット上で事前予約が必要です!
実際に利用してみよう!
①利用者カード作成
国会図書館に入るには、利用者カードが必要です。初めて来館した際には、まず利用者登録受付に行きましょう。身分証明書などを見せて、必要事項を記入するだけなのでそこまで手間はかかりません。
私が初めて行ったとき(2018年)は、平日の夕方頃で15分ほどで完成してすぐに入館できるようになりました。混んでいる時間帯は、発行にもう少しかかるかもしれません。
②入館までの流れ
ロッカーに荷物を入れる
館内には100円入れて戻ってくるタイプのロッカーがたくさんあって、そこに自分の荷物を入れます。国会図書館では資料の盗難防止のため、私物のカバンやリュックなどは持ち込み禁止です。
パソコンやノート、筆箱、貴重品、携帯など、館内で使う最低限の私物を、ロッカー横に用意されている使い勝手の悪いビニール袋(個人的意見です)に入れてのみ持ち込むことが出来ます。
ゲートをくぐる
ゲットした利用者カードは、館内入口にあるディスニーのようなゲートで「ポーン♪」と音が鳴るまでかざして入ります。
利用者カードは館内でパソコンを使うとき、資料を借りたり返したりするときに常に必要なので、出しやすいところにしまっておきましょう。
③資料検索
なんか思ってた図書館と違う…と感じた人多くないですか?!
私は、こう、天井まで高さがありそうな本棚が盛りだくさんある場所を想像していたのですが(笑)現実はもっとスマートでした。
入館したらまず、パソコンをのある席に座ってください。そこには利用者カードをかざす機器があって、そこにカードを置いてID、パスワードを入力するとマイページに入り、検索エンジンが使えるようになります。
例えば、「経営学」と入力すると、歴代の知識人たちが書いた経営学についえtの書籍や論文、音声データ、デジタル書籍など、盛りだくさんの文献がヒットします。
最初はざっくりとした検索で興味のある資料を探してみて、そこからどんどん知りたい分野を深掘りしてみてもいいですね。「日本 企業 マーケティング」など、いつもインターネットを使うときの感覚で資料を探します。
④資料受け取り
検索から読みたい書籍や論文が見つかったら、閲覧予約へ進みます。在庫が確認できる画面に飛ぶので、東京または関西、自分がいる方に貯蔵されているか、また他の人が読んでいないかをチェックできます。
すぐに予約できる状態であれば、カートに入れて予約を完了させてください。その日の館内の込み具合によって、受け取りまでにかかる時間は10~40分と幅がありますが、予約が完了したら気長に待ちましょう。
予約した資料が受け取りカウンターにて準備が出来たら、マイページに通知が来ます。その通知は検索に使うパソコンからも確認できるし、通知を確認するために使う簡易的なパソコンも館内いたるところに設置されているので安心です。
受け取りカウンターに行ったら、係員に利用者カードを渡します。そうするとすぐに予約した資料がもらえるので、次はパソコンのある席ではなく、もっと広い閲覧スペースに行ってゆっくり読みましょう(撮影は禁止です!)。
⑤閲覧・複写
持ち出し禁止って…じゃあ調べたもの全部記憶しろと!?
そんなことはなくて、館内の複写カウンターにて資料のコピーをお願いして持ち帰ることが出来ます!予約に使ったパソコンで、今借りている資料を選択して「複写予約」をすることで、利用者カードにその情報が読み込まれます。
次はそのカードを近くの印刷機にかざします。すると自動的に複写予約用紙が出てきます。そこに必要なページ数や範囲を記入して、複写カウンターに持っていきます。
こちらもおおよその待ち時間が書いてあって、印刷物を受け取るタイミングで料金を払います。
これ、家に持ち帰っても読めるから便利なんですけど、学生にとってここでの出費は正直辛いですよね。資料のサイズによっては1枚で何百円とかかるので、私は節約のためにも、途中からは身を削ってノートにひたすら書き写してました(笑)
⑥返却
必要な情報収集が終わったら、資料は返却します。これで一連の流れは以上です。1度に手元に借りられるのは図書資料3冊、雑誌資料(論文や紀要など)8冊までなので、自分が読み進められるペースで閲覧してください。
まとめ
「参考文献」ってここまで奥深いんだなあ、って思っていただけたでしょうか。立地の問題もありますが、実は国会図書館を活用する大学生はまだまだ非常に少なく、早く行ったもん勝ちです。
私は今思えばこの図書館に通って文献を読み漁ったおかげで、論文発表はゼミなどで自分の書いたレポートに対するどんな質問も打ち返すことが出来ました!
皆さんも、知ったかぶりをせず、1度騙されたと思って国会図書館ユーザーになってみてください。好成績、GPAアップ、優秀論文に繋がること間違いありません!