こんにちは、なおきです!
前回の記事ではアコースティックバンドサークル「ヨコシマ。」の夏合宿の体験談をご紹介しました。
「冬にも合宿ってあるの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、ヨコシマ。では、夏と冬の年2回、恒例の合宿があります。
場所は山梨県・山中湖。
真冬の2月に行われますが、雪はあまり降らず、晴れた日には湖面に映る富士山が見えるほどの絶景が広がる、最高のロケーションです。
冬合宿は、夏に比べて“距離が近い”のが魅力。寒いからこそ室内で過ごす時間が多く、体育館でのレクリエーションや、鍋を囲んでの夕食、深夜までの宴会トークなど、メンバーとの絆が一気に深まるイベントでもあります。

私が初めて参加した1年生の冬合宿では、すっかり打ち解けた同期や先輩たちと、ライブや運動会、宴会芸を全力で楽しみました。
そして2年生になると、今度は運営として合宿の裏方を担う立場にもなり、“誰かに楽しませてもらう”だけだった自分から、“誰かを楽しませる側”へと意識が変わっていきました。
この記事では、そんなヨコシマ。の冬合宿のリアルな姿を、1年生編・2年生編に分けてお届けします。
ライブ、レク、宴会芸、そしてサークル運営の裏話まで、“青春×音楽×ちょっと真面目な努力”がぎゅっと詰まった、冬の3泊4日をのぞいてみてください。

【1年生編】雪はなくても、笑いと青春が積もる3泊4日
2月の山中湖へ、再びバスに揺られて
2月中旬。空気がきりっと澄み切った朝、私たちは大学前に集合しました。
夏合宿から半年が経ち、サークルにもすっかり馴染んだ時期。顔を見れば自然と名前が出てくるし、ギターを持つ姿にもそれぞれの“らしさ”が出てくるようになった頃です。
バスが出発すると、車内はすぐにわいわいと賑やかに。
トランプやUNO、大富豪が始まった席もあれば、イヤホンを片耳ずつシェアして音楽を聴いているペア、窓の外をぼーっと眺めながら眠る人など、思い思いの時間が流れます。
道中には雪こそありませんでしたが、山中湖が近づくにつれて見えてきたのは冠雪した富士山の堂々たる姿。
その存在感に、バスの中から歓声が上がりました。

◆ 富士山を望む民宿、そして「体育館」という遊び場
宿は、山中湖のほとりにある大きな民宿。木造の温かみのある内装と、広々とした食堂、そして隣接された体育館。
「体育館つきって、なんか修学旅行みたいだね」と笑い合いながらも、テンションは急上昇。
到着後は、まず部屋割りを確認し、それぞれ荷物を置いてからライブ会場となるホールの設営に取りかかります。
ステージになる広間に機材を運び、マイクのチェック、スピーカーの設置、電源コードの確認……一つひとつを手分けして準備していきます。
1年生だった私たちも、夏合宿の経験があったため、前よりもスムーズに動けるようになっていました。
設営が一段落すると、自由時間に突入。
多くのメンバーが体育館に集まり、自然と始まったのが合宿版ヨコシマッチ。
これは、ヨコシマ。恒例のレクリエーションイベントで、言ってしまえば「サークル流の運動会」です。
この日のために部室から持参された大量のひよこのおもちゃが主役。障害物リレーや玉入れ、チーム対抗の綱引き風ゲームなど、体育館中を笑い声が包みました。

私は個人的に、自由時間中に男子メンバーでやったバスケットボールのフリースロー対決が特に印象に残っています。
「誰が一番多く入るか、負けたらジュース奢りな!」という軽いノリから始まった対決でしたが、気づけばみんな真剣モード。
結果的に、私はなんと優勝!ジャンプせずに沈めた最後の1本には、なぜか拍手が起こり、勝利のジュースをおごってもらったときは、ちょっとした英雄気分でした(笑)。
ライブで“POP STAR”を完全再現!カラフルなステージ
2日目からはライブ本番。
この合宿で、私たち1年生が挑戦したのは平井堅の「POP STAR」。
この曲は、軽快なメロディーとともに、MVでは平井堅が何人にも分身して登場するというユニークな演出で知られています。
そのアイデアを拝借して、私たちもメンバーそれぞれが“色違いの衣装”を着て登場。赤・青・黄色と、舞台の上に並んだ3人は、まるで芸人トリオのような雰囲気に。

演奏中は、サビ部分に合わせてちょっとしたダンスも交えながら、「本家に寄せつつ、自分たちらしさも出す」ことを意識しました。
ライブ後、「あれ、めちゃくちゃ良かった!」と何人もの先輩や後輩が声をかけてくれて、「ライブって、演奏だけじゃないんだな」と、音楽と演出の奥深さを感じた瞬間でした。
◆ 鍋と白ごはんと“残飯処理班”と
冬合宿の食事といえば、地元の食材を使った鍋料理。
寄せ鍋、キムチ鍋、豆乳鍋など、日替わりで登場するメニューに、疲れた身体も芯から温まりました。
「これ、もう一杯いける?」とおかわりに並ぶ男子たちの列は、もはや恒例行事。
ただ、やはり一定数は食べきれないメンバーも出てきます。
そんなとき活躍するのが、我らが“残飯処理班”。
「残ってたら呼んで〜」と自主的に待機していた私たちは、まるでフードファイターのごとく追加のご飯とスープを平らげ、謎の連帯感を育んでいました。
食後の自由時間には、お菓子を囲んで女子メンバーが恋バナをしていたり、男子メンバーが脱線しまくった人狼ゲームに突入していたりと、ライブの緊張から解き放たれた空気が宿のあちこちに漂っていました。
宴会芸で全員が主役に!どぶろっく劇場、開演
合宿3日目の夜といえば、お待ちかねの宴会。
この回で特に印象的だったのが、同期のメンバーが中心になって仕掛けた宴会芸「どぶろっく劇場」です。
題材は、あの問題作(?)どぶろっくの『大きなイチモツをください』。

ミュージカル風にアレンジされた構成で、曲の途中で次々と登場人物が現れ、それぞれ“違う意味での悩み”を抱えながら、全員でクライマックスへ向かっていくという、謎の壮大さ。
何がすごかったかというと、普段はおとなしくてあまりふざけないタイプのメンバーまでもが、全力で演じきっていたことです。
“あの先輩が、あんな声出せるんだ…”、“あの後輩、動きキレキレじゃん”と、会場全体が驚きと笑いに包まれました。
ネタの完成度もさることながら、「みんなで楽しもう」「全員が主役になれる場所をつくろう」という雰囲気が、何よりもうれしかったです。
宴会が終わった後、ふと誰かが「今年の冬合宿、まじで当たりだったな」と呟いたのを、私は今でもよく覚えています。

【2年生編】裏方も演者も“任される側”から“支える側”へ
下見はドライブ? いえいえ、責任を背負った調査ミッションです
2年目の冬合宿。
もはや合宿の流れも宿の設備もわかっているけれど、立場が変わると、見える景色もまったく違ってくるということを、この冬に実感しました。
この年から私は、サークルの中でも運営メンバーの一員として、合宿準備に深く関わる立場になっていました。
その最初の仕事が、下見です。

冬合宿の約1ヶ月前、レンタカーを借りて、仲の良い同期と2人で山中湖の民宿へ向かいました。行きの車内では、好きな音楽をかけたり、サークルの近況を話したり、まるでちょっとしたドライブのよう。
でも、宿に着いた瞬間、雰囲気は一変。
「ホールの広さ、PA機材の配置、電源位置は去年と変わっていないか?」「大浴場の時間帯と人数制限、部屋の割り振りと動線、食堂のレイアウトは?」
“一つの見落としが当日の混乱につながる”という緊張感の中、スマホのメモと下見リストを片手に、次々とチェックしていきました。
先輩から引き継いだノウハウに加え、「今年はもっとこうしたほうがいいかも」という改善点も探るのが私たちの役割。
真剣な顔でサイズを測ったり、宿の方と入念にやり取りしたりしている自分を見て、「あ、少し“運営側の顔”になってきたな」と、なんだか不思議な気持ちになったのを覚えています。
当日は“裏で走る”という役割の連続
迎えた合宿当日。
1年生のときは、ただバスに乗って到着を待っていればよかったけれど、2年生の今回はそうはいきません。
私たちはレンタカーを一台手配し、バスとは別に機材と緊急用の移動手段を確保しました。そしてその運転係を、私と同期の友人で担当することになったのです。
朝早く集合し、車に機材を積み込み、バスとは別ルートで出発。
車中では音楽を流しながら、「今回、宴会芸どうする?」「新歓動画も撮りたいよね」と打ち合わせがてら話すうちに、気づけば道中のほとんどが“仕事モード”。
でも、そんな静かな移動の時間こそ、運営メンバーとしての絆が深まる瞬間でもありました。
現地に到着してからは、ライブ機材の搬入、受付の対応、各部屋への連絡、スケジュール進行の確認…など、やることは山積み。
ときには「〇〇が体調崩したみたい」「△△チームのマイクが故障してる」といった突発的なトラブルにも即対応しなければなりません。
スマホを片手に、LINEグループとスプレッドシートを往復するその姿は、もはやサークルというより“現場スタッフ”さながらでした。
でも、不思議なことに、「大変」と感じるよりも、「今、自分がこの場を支えてる」という手応えがどこか誇らしかったのです。
新歓係としてのミッション:ライブ&動画撮影
この年、私はサークルの新歓係も担当していたため、合宿中には新歓用の動画素材の撮影も並行して行いました。

ライブの合間、自由時間、レクリエーションの様子など、カメラを片手にあちこちを飛び回りながら、「ヨコシマ。らしい瞬間」を探し続けました。
もちろん、自分のライブにも全力投球。
この冬に演奏したのは、森山直太朗の『花』と、チューリップの『青春の影』。

どちらも“卒業”や“時間の流れ”をテーマにした曲で、私自身も「もう折り返しか…」と感じ始めていた時期だったからこそ、自然と気持ちが入ったのを覚えています。
特に『花』は今回レンタカーで合宿に来ている同期と演奏。その同期にアルペジオのギターを弾いてもらい、私がボーカルを務めました。
照明の入り方、歌い出しの空気感、コーラスとのバランス――細部にまでこだわったステージは、運営でバタバタしながらも、“音楽をやる楽しさ”の原点を再確認できた瞬間でした。
宴会芸でも、ガチでいく。それがヨコシマ。
ライブが終われば、いよいよ3日目夜の宴会。
この年、私たち男子5人は、本気の宴会芸として『Yes! プリキュア5』のダンス&歌を披露することに。
やると決まった瞬間、Amazonで衣装をポチり、メイク道具を持っている女子メンバーに協力を仰ぎ、空き時間でダンス練習に励む日々が始まりました。
メイクの仕上がりが意外に良くて、男子メンバーからは「お前、ちょっと可愛くない?」と微妙な称賛(?)を浴びたり、女子メンバーからは「こういう場で全力なの、好感持てるよ」と励まされたり。
本番では、5人で息を合わせたダンス&口パクで、会場は大盛り上がり。

照明を手動で当ててくれた後輩、音響のタイミングを見てくれた同期――みんなの協力が合わさって、まるで文化祭のクライマックスのような一体感が生まれました。
終演後、笑いすぎて涙を流していた1年生が「これ見たら、来年の自分たちが心配になります…」と真顔で言っていたのが忘れられません(笑)。
◆ 宴会のあとは、静かな朝焼けと富士山と
宴会が終わっても、合宿はまだ終わりません。
その夜は、誰もが「寝たくない」と思っていたかのように、自然と大広間に集まって語り合う流れに。
音楽の話、恋の話、進路の話――ふだんはなかなかできないような会話が、夜が更けるにつれてぽつりぽつりとこぼれてきます。
そして朝方。
「せっかくだから、富士山見に行かない?」という一言で、数人が上着を羽織って外へ出ました。
2月の空気はぴりっと冷たく、でもどこか澄みきっていて、顔に当たる風さえ心地よく感じました。
目の前には、薄紅色の空に染まりながらそびえる富士山の姿。
誰も言葉を発しないまま、その静かな光景を見つめていたあの時間が、たぶん、冬合宿の中でいちばん心に残っています。

おわりに:冬だからこそ、心の距離はもっと近くなる
「冬合宿」と聞くと、最初は少し地味なイメージを持つかもしれません。
雪山でスキーをするわけでもなく、海で遊べるわけでもない。
気温も低く、外に出る機会は夏よりもぐっと減る。
でも、だからこそ冬合宿では人や空間の温かみに気づくものです。
音楽を通じて仲良くなった仲間たちと、体育館でひたすらバカみたいに走って、鍋を囲んでたらふく食べて、夜になったらちょっとふざけた宴会芸に全力を注ぐ。
そして深夜、ストーブのある部屋で語り合ったり、朝方に富士山を見に行ったり…。
そういう何気ない時間のすべてが、冬という季節の中でより濃く、より静かに心に染み込んでいくように感じました。
1年生の頃は、ただただ目の前の出来事が楽しくて、目の前の人たちが愛おしくて、あっという間に過ぎていく時間を必死で追いかけていました。
2年生になって、サークルの“動かし方”が少しずつ分かるようになって、誰かが楽しむためには誰かの支えがあるということ、そしてその支えがあるからこそ全力で楽しめるんだということも、実感しました。
サークルって、楽しいことだけじゃなくて、ちょっと大変なこともあるし、うまくいかないこともある。
でも、そんな日々をまるごと包み込んでくれるのが、合宿という“非日常”の時間なのかもしれません。
冬合宿を終えると、春はすぐそこ。
学年が変わり、新歓が始まり、また新しい仲間がサークルに加わってくる。そうして、思い出は毎年、少しずつ形を変えながら積み重なっていきます。
これを読んでくれている高校生や新入生のみなさんが、いつかヨコシマ。の合宿に参加する日が来たなら、その時はぜひ、目の前の景色と、音楽と、人との時間を大切にしてほしいなと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
