大学院って何をするところ?現役大学院生が解説!

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鹿屋体育大学のまさしです!

さて,私が前回記事を書いた際(1年半くらい前)に私は大学4年生でした.それから時が経ち,本来であれば社会人1年目が終了しそうな頃かと思います…

しかぁーし!私は就職していません!つまり働いていないのです!なぜでしょう?

答えはタイトルにもある通り,大学院に進学しました!

大学院生」聞いたことがある人は多いかと思いますが,実際に普段何をしているのかを知っている人は多くはないかと思います.しかも私のような体育大学の大学院生は何をしているのか.知らない人がほとんどかと思います.

そこで今回はそんな「体育大学の大学院生」の生態を赤裸々に書いていこうかと思います.

大学院とはどんなところ?

まず,大学院とはどんなところなのでしょうか.

ネット

まずはネットで検索してみましょう.多くのサイトでは「スペシャリストになるための場所」と出てきます.専門分野についての知見を深め,その分野の専門家として活躍できるような能力を養う場所という説明です.

筆者の見解

私自身,大学院は「自分の興味を追求できる場所」だと思っています.確かにネットに書いてある通り,自身の専門分野の知識を深め,その道のスペシャリストとなれるような勉強もたくさんできます.

しかし,大学院は入学する際には大学とは異なり「私はこんな研究をしたい!」と目的を明確にして入学します.その研究というものは言うまでもなく自身の興味から生まれてくるものです.

その研究を2年かけて完成させる.まさに自分の興味を追求できる場所なのです.

大学院の構成

一言に大学院といっても,大学に学部学科があるようにその内部は様々な所属の人がいます.ここでは私の所属している鹿屋体育大学大学院を例にとって解説したいと思います.

研究科

大学で言うところの「学部」です.鹿屋体育大学大学院は体育学研究科のみです.これが他の大学院であれば経済学研究科や法学研究科,医学系研究科など様々な研究科があります.

専攻

ここは大学で言うところの「学科」にあたります.鹿屋体育大学大学院は体育学専攻,スポーツ国際開発学共同専攻,スポーツ高度化共同専攻(博士後期課程のみ)の3つからなります.

課程

これは少し大学院ならではかもしれません.大学院は主に修士課程と博士課程に分かれます.

修士課程

大学を卒業するとまずは修士課程(大学によっては博士前期課程ともいう)に進学します.一般に2年間在籍し,研究者としての基礎や専攻の基礎知識を学びながら自身の研究を進めます.ここを修了すると修士の学位を取得することができます.

私も現在,修士課程に在籍しています.

博士課程

一般に博士後期課程と呼ばれます.修士課程を修了した後,さらに高度な学問を学び研,自身の研究を進めていきたいと思う学生が進学することになります.一般には3年在籍し,様々な論文誌への投稿や学会での発表を行いながら自身の研究を深め,修了することになります.ここを終了すると,博士の学位を取得することができます.

大学教授のほとんどがこの博士の学位を取得しています.

大学院生がすること

次に,大学院生は普段何をしているのか.解説します.

自身の研究

これはもう当たり前ですね.

大学を卒業する際には卒業論文を執筆して卒業することになりますが,大学院ではそれぞれ修士論文,博士論文を執筆します.

大学によって異なりますが,卒業論文はゼミ指導教員の承認およびゼミ内での発表のみで完了することが多いです.

しかし,修士論文や博士論文は指導教員のほかに副指導教員の先生(修士は1~2名,博士は5名程度)の承認が必要です.また,学内での論文発表会のほかに論文審査会が行われ,指導教員や副指導教員の先生方と時間無制限で質疑応答が行われます.その審査会を経て,論文を執筆して晴れて修了となります.

授業

これは意外と言われることが多いですが,大学院にも授業があります.大学時代と同じように90分1コマの授業を15週間行います.

しかし,大学時代と授業とは少し異なります.

まず,受講人数です.大学では数十人から数百人が一斉に授業を受けるかと思います.一方で鹿屋体育大学大学院の修士課程には各学年15名程度しか在籍していないうえ,授業は専門分野によって細分化されているため,必修の授業以外は最大でも7~8名程度しか受講しません.少人数での授業のため,受講生のニーズに合った授業を臨機応変に行うことが可能です.

次に授業内容です.

鹿屋体育大学大学院では授業内で自身の研究内容の発表を行うことが多くあります.自身の研究計画やその研究によって得られる意義などを発表し,同級生や大学教員からアドバイスをもらいつつ授業と研究を進めていきます.

実習系の授業では鹿屋体育大学が所有している機材を実際に使用して測定を行い,受講生が各自でデータ分析等を行い発表するといった内容の授業もあります.この授業では研究を進めるうえでの様々なデータの見方,解釈方法などを学ぶことができます.

また,大学院ではあまり期末試験を行うことはありません.少人数での授業のため,授業中の発表やレポート課題などで評価がなされます.

もちろん一定以上の単位を取得しなければ卒業することができません.

学会発表

各専門分野の研究成果を発表する場,それが学会です.学会は国内海外問わず1年中開催されています.各専門分野において非常に細分化されており,様々な学会があります.

体育分野では日本体育・スポーツ・健康学会に始まり,水泳・水中運動学会,テニス学会,フットボール学会などの各種目に派生したり,バイオメカニクス学会やコーチング学会など学術的な面に派生したりします.さらには九州体育学会など地方によって分かれている場合もあり,非常に裾野は広くなっています.

多くの学会は1~2年に1回学会大会が開催され,そこで他国や他大学の同じ専門分野の先生方,大学院生の研究成果を聞いたり,自分の研究成果を発表したりします.

何十人もの専門家の前で自身の研究を発表することで,自分の気づかなかった観点からのアドバイスをもらえることがあります.そのアドバイスを受けて自身の研究の内容をより深めていくことになります.

私も昨年の10月に東京で開催された日本水泳水中運動学会2022年次大会で発表してきました.発表直前は吐くほど緊張しましたが,発表し始めれば一瞬でとても貴重な経験となりました.

この学会発表は修士・博士ともに卒業要件の一つになっていることが多いです.

論文投稿

自身の研究内容を国内外の専門の論文誌に投稿し,研究成果を公に公開することをいいます.

論文といっても様々な形式があり,ある一つの事柄に関して記述する研究論文に始まり,既に公開されている論文をまとめて結論を導き出すレビュー論文などがあります.

また,論文誌によって査読というものがあります.査読とは,提出された論文の内容が本当に意義あるものか,論理の筋は通っているかなどを執筆者とは関係のない同じ専門分野の先生によって確認する作業になります.

一般に大学ではどの論文誌に論文が掲載されたかで評価されることが多く,もちろん査読がない論文誌よりは査読のある論文誌に掲載される方が評価が高くなります.

また,国際誌に投稿する際には英語で論文を執筆する必要があり,論文投稿のハードルがまた一段階上がることになります.

これは修士の卒業要件にはなっていないが,博士の卒業要件にはなっていることが多いです.

TA

大学院生は学部の授業補助業務としてティーチングアシスタント(TA)を行うことがあります.

大学の授業は受講生が多いため,特に演習や実習の授業では教授一人で満足な授業を行うことはなかなか難しいです.そのため,大学院生が簡単な学生の質問に答えたり,資料配布を行ったりと授業う補助を行う事があります.

もちろんこの業務は時給が発生し,日々の研究でなかなかアルバイトをする暇のない貧しい大学院生を助ける業務となります.

この業務では自身が大学生の頃に受けた授業をもう一度聴講でき,学生に説明することで自身の理解も深まる.さらにお金まで稼げてしまう.まさに一石三鳥です.

その他学内業務

その他大学院生には学内のアルバイトが多く紹介されます.先生方の実験補助や施設のスタッフ業務など大学院生になると急に大学から様々な仕事が舞い込んできます.

実際に私はパソコン室の夜間スタッフ業務を行っています.これは,授業がすべて終わった後夜までパソコン室に在室し,レポート課題をやりに来た学生たちの質問を受けたり,パソコン室の清掃を行ったりしています.この業務は暇な時間を全て自分のために使うことができ,自身の研究を進めたり,少しリフレッシュしたりと自由に過ごすことができます.

その他にも心理カウンセリングを行う業務であったり,実際に大学職員として働いている大学院生もいるようです.

体育大学大学院生の特徴

さて,みなさんも大学院について少し理解が深まったかと思います.

ここでは体育大学の大学院生ならではの特徴を私のバリバリ主観で書いていこうと思います.

活気がある

やはり大学院生とは言えどもほぼ全員が元または現役のアスリートばかり.みんなやる気と活気に満ち溢れています.

大学院生というと,研究に追われて日々活力がなくなっていってしまう…というイメージを私も持っていました.実際研究に追われている大学院生も多いようですが,日常生活ではそんな事これっぽっちも感じさせません!みんな元気に生活しています.

TA業務が過酷

これは完全に私の主観です(笑)

他大学であれば講義がメインのため,TAの業務もプリント配布や受講生の補助がメインになるかと思います.しかし,体育大学では実技授業が多いです.実技授業においてTAはとても重要です.ペアワークの相手が居なかったら一緒に身体を動かすし,チーム分けがうまくいかなかったらチームに入って身体を動かします.

これは体育大学ならではと言っても過言ではありませんね.

大学院進学のメリット・デメリット

メリット

本当に興味のあることが学べる

大学院では自分の興味のある分野について学部時代よりもっともっと掘り下げて研究を行うことができます.また,授業も学部の授業よりも分野が細分化されており,自分の興味のある分野の授業であれば15週間飽きることなく授業を受講することができます.

自分の研究を進めることを第一に考えていれば,おのずと自分の興味に沿った勉強しかしなくなってきます.大学では「単位が足りないからこの授業受けなきゃ…」とか「卒業研究は時間がないからあんまり納得いくまでできなかった…」など自分のやりたいこととは少し違った内容をやらなければいけない場面もでてくると思います.

もし大学に行って,自分の興味をあまり深められなかったと思ったらぜひ大学院まで進学してみてはどうでしょう.

教授との距離が近くなる

大学院に進学すると,少人数での授業や様々な学校の業務を行うため,大学の事務の方々や教授との距離が一気に縮まります.

学部の頃は1対数百の関係だった授業が1対数人になるので,当たり前といえば当たり前ですね.先ほど書いた通り,授業では自身の研究発表を行う機会が多いので,少し自分の専門を外れた分野の教授であっても研究に対するアドバイスをくれることが多いです.そのため,自分の研究に行き詰った時に頼りになる人が圧倒的に増えます.

教授との距離が近くなることは自分の成長面においても十分プラスです.

自分をじっくり見つめ直すことができる

学部卒の人たちより社会に出る期間が2年以上延長されることで,自分が本当にやりたいことは何かを見つめ直すことができます.

これは就職活動の面でも効いてきます.大学を卒業する時に考えていた進路と実際に大学院に入学して,研究を進めていくうえで決定した進路が全く異なるといった例も少なくはありません.

自分がやりたいことは本当にこれであっているのか,本当に自分はこの研究が好きなのか.考え直すために進学してみる.というのも個人的にはありかと思います.

休日が多い

大学院生は基本的に大学生と同じ学年暦で活動します.そのため,大学生と同じだけ祝日があり,大学生と同じだけ長期休みがあります

これはなかなか大きいメリットではないでしょうか.もはや大学生の代名詞ともいえる約2ヶ月の夏休みも大学院生は夏休みとなります.しかし,長期休みは自身の研究のための実験や分析などを集中して行っているとあっという間に休みが過ぎてしまうということもあります.

でも,長期休みは長期休み.そこは学校から解き放たれた生活を送るのも悪くないでしょう.

デメリット

社会からの隔絶

個人的に大学院生のデメリットはほぼほぼこれだと思います.

大学院生は勉強のため,研究活動のために年に数回の学会以外はほぼ大学内に籠って研究活動に没頭することになります.同級生の9割近くはもう立派に社会人として活動している中,自分は無給で学校でパソコンに向かう日々…

ふとした瞬間にそれが虚しくなることもあります.しかしそれも自分が選んだ道.将来は自分も社会人として大学院で学んだ知識を存分に発揮していると信じて頑張ります.

大学院は良くも悪くも自分次第

ここまで大学院について私の主観を交えながら解説していきました.一般に大学院生は「研究バリバリで頭のいい集団!」というイメージが強いかと思います.

この記事を読んで,「大学院生ってなんかいろいろやってるんだなー」とか「自分も将来の選択肢として少し考えてみようかなー」と思った人が一人でもいれば私は大満足です.

最後に,大学生活もそうだと思いますが,大学院生の生活は特に自分の行動が将来を変えると思います.

大学院生は勉強してなんぼ,言われなくても自分の研究を進めてなんぼの世界です.その中で自分が学生生活にどのような意義を見出していくかが大学院生としての価値です.大学院進学を考えた際にはぜひそのようなことも考えながら決定してみてください.

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まさし

まさし

鹿屋体育大学 体育学部 スポーツ総合課程

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