こんにちは!
今回は「徹底解説!AO入試の基礎知識~志望理由書&面接編~」で解説しきれなかった小論文の書き方について、そもそも小論文とはなんぞやというところから僕が実際に現役の時にしていた対策も紹介していきたいと思います!
AO入試や推薦入試などでよく出題される小論文は、そもそもどのようなものなのでしょうか。
高校の授業でも小論文の授業がある高校は少ないんじゃないかなと思います。
入試で問われる小論文とは
あるテーマについて、受験者の意見を論理的に文章で書かせる試験
だと思ってもらって大丈夫です。
例えば
「現代の社会において宗教が果たせる役割について書きなさい」
「ベーシックインカムの導入について、そのメリットとデメリットを示した上であなたの意見を述べなさい」
「あなたが今注目している科学技術を一つ取り上げ、その将来性について述べなさい」
といった感じのものです!
小論文の二つの形式
小論文の出題には大きく分けて二つの出題形式があります。
それは
自由記述型と課題文型
の二つです。
自由記述型
上のようなテーマが示され、それについて制限字数内で自由に自分の意見を述べるものです。問題用紙には一行か二行程度のテーマ(問題文)が書いてあり、あとは原稿用紙や罫線付きの紙にどんどん自分の意見を書いていくことになります。
課題文型
上で出したようなテーマに加え、そのテーマに関連する文章があり、その文章も踏まえた上で自分の意見を書いていく方式です。
課題文の長さは大学によって異なりますが、短いもので400字程度、長いもので5000字を超えるような大学も僕が受けた中に実際にありました。
そして、ほとんどの小論文試験は、試験当日に試験会場内で試験時間中に書き上げるものですが、コロナの影響で、願書と一緒に郵送したりオンライン上で提出を求めたりする大学も今年はありました。
僕の友達は、オンライン上で提出するタイプの小論文を書いていたのですが、その場合はインターネットや書籍で情報を集めてもよいという風になっていました。ただし、後でも書きますが、小論文は自分が知っている事実だけを述べるものではありません。なので、ネットや本から持っていた情報だけを書いても、いい小論文にはならないのです。
ここからは実際に僕が現役の時にやっていた小論文の対策を紹介していきたいと思います!
小論文の対策方法
小論文の練習は高校でも授業ですることが少ないと思います。僕の通っていた高校でも小論文の対策は個別に先生に添削してもらうという形だったので、最初はどうやって書き始めたらいいのか全くわからない状況でした。ここからは小論文課題全体に対する書き方や対策について説明してから、自由記述型と課題文型に分けて説明していきたいと思います!
小論文の考え方
たとえば、90分で1200文字の小論文を書くとして、あなたならどのような時間配分で書こうと思いますか?
「書こう書こう」という意識が強くなってしまうと、どうしても書くことに時間を使ってしまいそうになりますが、焦ってすぐに書き出すと大体失敗します。
小論文で1番大事なことは
書く時間より考える時間をしっかりとる
ということです!
正直小論文で考えるべきことはこれだけです。
僕が90分で1200字の小論文を書くとするなら、どんなに短くとも30分は考える時間に充てます。テーマにもよりますが、考える時間を最大限長くするなら50分間考えて、残りの30分で書く、最後の10分で見直しという時間配分でもいけます。
30分で1200字書くのは無理だと思うかもしれませんが、意外といけます。
ただし、これは対策をした上で、「書くことが決まっているとするならば、何分で何文字ぐらいかけるのか」という自分が書けるスピードをわかっているからこそできることなので、「内容が決まっているならば、原稿用紙一枚分(400文字)書くのに自分が何分必要なのか」を知っておくことは必要になります!
では話を戻して、なぜ考える時間がここまで必要になるのでしょうか。
それは小論文は
書き出すと戻れない
という特徴があるからです!
高校生になったらあまりないかもしれませんが、夏休みの作文やレポートというのは期限が長いので、一旦書き上げてからどんどん修正を入れていくことが可能です。
ですが、小論文は時間の制限があるので一旦書き始めると大きく内容を変えるのは難しいことです。
一旦書き始めてから「あ、やっぱりこういう内容にしよう」というのがほぼできません!
だからこそ、書き始める前に内容はもちろんのこと、小論文の論理構成や最低限の文章表現まで含めて考える必要があるんです。
書きながら考えるのではなく、完璧に流れを考えてからそれを文字にするだけ
というのが小論文を書く上での心得となります。
だから僕は文字数によりますが、90分の小論文なら半分ぐらいは内容を考えて最後に一気に書き上げるという方法をおすすめします。
論理的に書くとは
小論文を書くときに1番大切にするべきことは、論理的に自分の意見を伝えることです。
テーマに対して独創的な意見を書くことでも、文学的な表現を使うことでもありません。もちろん、その人にしか思い付かないような意見を書くことや美しい文章を書くことは大切です。しかし、特に独創的な意見を思いつくかどうかなんて当日テーマを見てみるまではわかりません。
しかし、論理的な文章を書くことは練習さえすれば、どんなテーマでもできます。それに、文章が論理的でないと意見が斬新で独特の観点からのものだったとしても、そもそも採点官にきちんと伝わらないので、論理的に書くということは小論文の基礎の基礎となってきます。
ではそもそも論理的な文章とはどのようなものでしょうか。
次の文章を見てください。
お腹が空いた。何も食べなかった。
日本語としては成立していますが、わかりやすい文章でしょうか?
読み手は、お腹が空いたなら何か食べればいいのにと内容に疑問を感じますし、決して意味が通った文章ではありません。
では、これはどうでしょう。
お腹が空いた。今は夜の12時だ。何も食べなかった。
さっきの文章よりは少し意味が通っているのではないでしょうか。
今は深夜であるという情報が加えられることで、お腹が空いているのに何も食べなかったという矛盾が解消されたからです。
欲を言えば、今は夜の12時で今から何かを食べると健康に良くない、ぐらいの説明は欲しいですが。
論理的に文章を書くために絶対に意識すべきことは
内容に飛躍がないようにすることです!
上の文章の例では、「お腹が空いた」という情報と「何も食べなかった」という情報の間に飛躍があります。だから、その飛躍を埋めるために二つ目の文章では「今は夜の12時である」という情報を補ったのです。
小論文に限らず論理的な文章を書く時には、文と文がすんなり繋がっているか、疑問を挟む余地がないかをじっくりと検討しましょう。
ただし、小論文は字数制限がある中で書くことになるので、多少の飛躍は仕方がないことです。「当然の推論」と言ったりするのですが、2つの情報(文)があったときに、当たり前だとされているレベルなら飛躍が多少あっても問題ありません。
上の例でいう「夜中に何かを食べるのは健康に良くない」というのが「当然の推論」です。
まとめると、
「お腹が空いた」
↓
「今は夜中である」
↓
「夜中に食べるのは健康に良くない」(「今は夜中である」ということから簡単に推察されるので省略してもいい)←当然の推論
↓
「何も食べなかった」
という流れが綺麗な論理の流れです。
とにかく小論文を書くときには飛躍がないか慎重にチェックしてください!
余談になりますが、論理というのは奥が深いです。
論理学という論理を研究する学問があるぐらいです。なので、とことん突き詰めると論理的な文章を書くというのはとても難しいです。ですが、大学入試の小論文では論理性はもちろん、意見の批判性など様々な観点から評価されます。あまり論理にこだわりすぎると進まなくなってしまうので、最低限飛躍にだけは気をつけてみてください。
論理的に書くための簡単なコツ
論理的な文章が書けるようになるには、とにかく丁寧に練習するしかありません。
しかし、これだけを意識するだけである程度論理的な文章が書けてしまうという裏技もあります。
それは
接続詞をいっぱい使うことです!
接続詞というのは文と文をつなぐためのもので、「そして」や「しかし」、「また」、「加えて」などなど。
これらを使うことで論理的な文章に仕上げることができます。
そもそも、接続詞というのは文と文の関係性を表すものです。今までと同じ内容を続けるなら順接や添加、今までの内容と逆のことを言うなら逆説のように、接続詞の後の文の内容は使われている接続詞で決まります。論理的に書くとは内容に飛躍がないようにすることだと書きましたが、もし飛躍していた場合、接続詞を使うと日本語としてかなり違和感がある文章になります。
ですので、「接続詞を使うと自動的に論理的な文章になる」というよりも「接続詞を使おうと意識することで、文と文の繋がりが自然なものになる」といった感じです。
ただ、全ての文の間に接続詞があるとそれはそれで不自然なので、論理的に書くための最初の練習として接続詞をたくさん使う方法を試してみてください。慣れてくると接続詞を実際に使わなくても、自然と文の繋がりが意識できるようになります!
ちょっとまとめ
ここまで小論文全体の考え方や論理について説明してきましたが、具体的な対策と書き方にうつる前に少しまとめておきます。
- 小論文は書く前に考える時間をしっかりとる
- 内容に飛躍がないように、論理的な文章を書く
- 接続詞をしっかりと使う
この3点は基本的なことなので、忘れないようにしてください!
自由記述型の対策
自由記述型の特徴をおさらいしておくと、テーマ(質問文)だけが与えられ、制限時間以内、制限字数以内で自分の意見を述べていくものでしたね。
読むべき課題文がないので、課題文型の小論文と比べて自由に文章全体の構成を考えられるという特徴があります。
課題文もないし、自由に書けるとなると考えをそのまま書けばいいようで簡単に思えるかもしれません。
しかし、課題文がないということは自由に書けるという反面、書き出すためのヒントもないということです。課題文があれば、その課題文に書いてあることに賛成したり、反対したりと自分が苦手とするテーマであってもある程度対応することができます。つまり、書き出すためのヒントや突っ掛かりが課題文型の小論文では用意されているのに対して、自由記述型ではそういったものが用意されていません。
だからこそ、自由記述型で大切になってくるのは
知識の量
です。
小論文のテーマにどんな話題が選ばれるかは、当日問題を見るまではわかりません。その上、課題文などもなく書き始めるためのヒントがないとすると、頼りになるのは自分の知識だけです。
単刀直入にいうと、自由記述型で1番大切になってくるのはそのテーマに対してどれだけの知識を持っているかということです。
では、どうやってその知識を得ていくのかというところですが、自分の行きたい大学の学部についてしっかりと考える必要があります。
たとえば、経済学部の小論文試験で「あなたが人類史上最も優れていると思う物理学者について述べなさい」というテーマは出ません。工学部の試験で「今の日本の司法制度の問題点について述べなさい」というテーマは出ません。
つまり、小論文のテーマなんて自分が受ける学部に関係があることしか出ないのです。
だから、小論文に必要な知識の入れ方は
自分の受ける学部で何が学べるのかを考える
↓
学べる内容について、問題点や歴史について調べる
たとえば、文学部の国分学科だったら「高校生が古典を学ぶ意味はあるのか」など最近話題にされていることなどを調べます
↓
自分だったらこんなテーマを作るなというのを考える
↓
そのテーマについて調べる
という流れを繰り返すと、どんどん内容が深まっていきますし知識の量も増えます!
ただ、最初からこれをするのは難しいです。なので、最初は「〇〇学部 小論文」などとGoogle検索しちゃってください!
そうすると大体よく出るテーマが検索結果に出てきます。
また、当然過去問が手に入る場合は過去問を入手して過去にどんなテーマが出されたのかを見てみてください。もし、大学のホームページに過去問が載っていない場合、直接大学に電話したら送ってくれたり、閲覧方法を教えてくれたりします。過去問がネットにないからといって諦めずに、一度大学に連絡してみてください。
自由記述型の対策として1番大切なのは、出そうなテーマの周辺知識をインプットしておくことです。そのために、ネットの情報や過去問を最初はどんどん活用していってください。また、その学部に所属する教授の専門とする分野を調べることで「ここの学部の教授たちは〇〇を研究していることが多いな」ということに気づけるかもしれません。
この本は僕が実際に使っていた本です。
シリーズ化されており、各学部ごとによく出るテーマがまとめてあるので知識のインプットにも使えますし、ある程度小論文の対策を進めて思いつく対策がなくなったときにもおすすめです。
もちろん、本屋さんにはこれ以外にも小論文対策の本はたくさんあるので、自分にあったものを使ってみてください。
課題文型の対策
課題文型の小論文には、テーマと別にそのテーマに関連する文章がついています。自由記述型との1番の違いはやはりここです。
文章がついているからにはそれをなんらかの形で使わなくてはいけません。大学側もその文章をどう使ってくるかというのを見ているので、せっかくついている課題文を無視することはできません。
課題文型の小論文は、課題文の要約を求めてくるパターンと要約は必要ないパターンの2パターンがあります。要約が必要ないパターンだと、課題文の内容に賛成したり反論したりして自分の論を展開していくだけでいいのでほとんど自由記述型と変わりません。ちょっとしたヒントが与えられていると考えてもらって大丈夫です。
要約が必要な場合、要約の正確さなども評価の対象になる場合があります。また、要約は自分の意見ではないので、いくら綺麗な要約が書けたとしてもそれだけでいい評価をもらうことはできません。
要約で大切なことは
短い文章で正確に課題文の内容をまとめることです!
要約は書いてあることをそのまままとめるだけなので、字数をたっぷり使えば誰でも書けてしまいます。
ただし、小論文のメインはあくまであなたの意見で、課題文の要約ではありません。だからこそ、要約はできるだけ短く、でも中身はしっかりとまとめなければいけないのです。
要約ってどうやって練習するの?
要約の練習方法は簡単です!
とにかくいっぱい練習する!以上!
僕は現役時代に新聞の社説を自分で150文字以内でまとめるということをずっとしていました。
読売新聞の社説がネットで無料で公開されており、それを毎日自分でまとめ、国語の先生に添削してもらう。この繰り返しでした。
社説として扱われるテーマは結構広く、今の時期だとテレビを見ていてもコロナのニュースしかやっていませんが、国内の政治や国際問題など、その時話題になっていることを満遍なくインプットできます。
僕は毎日社説をGoogleドキュメントにコピーしてきて、大切だと思うところに線をつけ、その後自分なりに要約するというのを半年以上続けていました。知識のインプットもできるし、要約の練習にもなるし、効率がいい練習方法だと思います。
上の写真は僕が要約練習を始めたての頃のものなので、結構下手くそです(笑)
要約のコツ
いっぱい練習するといってもただ数だけこなしても上手くはなりません。
小論文の課題文要約で求められていることは
課題文の内容だけでなく、構成もまとめることです!
文章の中で1番大切な内容は当然結論なので、1番最後の段落の1番大切そうなところを抜き出してきても一応まとめたことにはなります。
しかし、小論文の要約で求められているのはそういうことではありません。
文章にはほぼ必ず、話の流れがあります。いわゆる起承転結というやつです。
この起承転結を要約の中で再現する必要があります。
起承転結を再現するといっても、最初から話の展開を完璧につかんでそれを自分の言葉に言い換え、まとめるのは少し難しいと思います。
なので、最初は段落ごとに大切なところを抜き出してみてください。
話の展開が変わる部分で段落も変わります。各段落から一つずつ1番大事だと思うところを抜き出してきて並べれば、最低限の話の流れは再現されているはずです。
最初はこうやって自分で課題文の話の展開の流れを掴めるようにしてください。
慣れてくれば、段落が変わっていない文章を読んでも話の流れが掴めるようになってきます。
大切なのは、自分で書いて終わりではなく、必ず国語の先生や塾の先生に見てもらうことです。自分では書けてるつもりでも、プロから見ればまだまだということはよくあります。特に最初のうちは、必ず見てもらうようにしてください。
小論文を書くときの注意
自由記述型、課題文型にかかわらず気をつけるポイントを少し紹介します!
段落はきちんと分ける
普段スマホでLINEやTwitterなどを使っているときは、文章を段落分けして書くということはほとんどしないと思います。
しかし、小論文はきちんとした形式で意見を伝える文章なので、段落分けは必須になってきます。
段落を変えたときに、一文字空けるのも忘れないように!
原稿用紙のルールを守る
これも上の段落分けと似ていますが、小論文は字数が数えやすいように原稿用紙を使って書くことが多いです。
小さい「っ」や「。」が改行して最初のマスにくるときの扱いはできても、伸ばし棒の「ー」が最初にきたらどうしたらいいかを知っている人はあまり多くはないと思います。
そういったルールの面で悩んで無駄に時間を取られないためにも、原稿用紙のルールは細かいところまでしっかりと覚えておきましょう。
漢字&日本語ミス
これは僕が1番苦戦したポイントです。本当に最近は長い文章を紙に書くことがないので、漢字のミスを連発してました。内容云々以前の話なので漢字はきちんと書けるように。もし、自信がないなら違う表現で書くなどできるだけ漢字のミスは避けるようにしましょう。
日本語のミスで多いのが、話し言葉をそのまま使ってしまうことです。
実は僕もこの記事の中で何度か使っていますが、「なので」という表現は話し言葉です!小論文では使えません!
文中の「なので」はセーフの場合が多いですが、文頭に使うとほぼ確実にアウトです。「だから」というのはきちんとした書き言葉なので、「だから」を使うようにしてください。
またちなみに、小論文でよく使う「~にもかかわらず」という表現の「かかわらず」の漢字は「関わらず」ではなく、「拘らず」です。しかし、最近は「関わらず」の誤用が多くなってきており、「関わらず」でもいいとされるような風潮があります。怖かったらこの漢字はひらがなで書いても大丈夫なので、漢字で書くなら正しく書く、不安ならひらがなで書くとしてください。
まとめ
- 小論文は自分の意見を論理的に伝えるもので、自由記述型と課題文型に分かれる
- 論理的とは内容に飛躍がないこと(接続詞をいっぱい使う)
- 書く時間よりも考える時間を大切に
- 自由記述型で大事になってくるのは知識の量(問題の予想が大事!)
- 課題文型では要約をいかに綺麗に短くできるか
綺麗な小論文はすぐに書けるようにはなりません。しっかりと時間をかけて慣れることが大切になってきます。
逆に、きちんと今から時間をかけて少しずつ対策を始めていけば、推薦入試が始まる頃には間に合います!
コツコツと対策を始めていってください!